仕事帰り、いつもより早めの電車に乗ったら妙な臭い。

不思議に思いつつ座席に目をやると不自然な空間。

座ろうとしたところで気づいた。

ギョーザ食ってる。

座席と床に箸袋やビニール袋も散らばってる。

仕方ないので少し離れた席に何とか座る。

ギョーザ食べてるのは普通の、どちらかと言えばまじめそうな痩せた若いにーちゃん。

周りを気遣う様子はない。

乗り込んできた人は皆一様に怪訝な様子をしてから彼に気づき、あきらめたように離れて座る。

仕方ないよな、もし刺されたらかなわんしな。

仕事で疲れてるし。

みんなそんな感じだ。

しばらくしてOL風の女が乗り込んできた。

一瞬立ち止まってから彼の隣に荷物を置いた。

すると床に落ちた箸袋を拾い上げ、彼に「これ、君の?」と聞いた。

唖然とする若い男と俺(達)。

「悪いけど電車でギョーザ食べるのやめてくれないかな。ホームに椅子があるからそこで食べなよ。」

静まり返る車内。

赤くなりうつむく彼。

見つめる女。

と、駅についた。

彼はビニール袋を持って降りていった。

彼女は何もなかったように席に座り、文庫本を読み始めた。

ちょっと小柄で櫻井淳子に似た綺麗な人だった。

声をかけたかったけどかっこよすぎて出来なかった。

しばらくして彼女は渋谷で降りていった。

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