昔、ある夏の暑い日のこと。

夏特有の夜の蒸し暑さに耐えかねて寝る前に壁掛け扇風機を回して寝ていた。

クーラーなんてものは居間にしかなかった。

それでも寝られず、仕方なくもう一台の扇風機も稼動させた。

しかし俺のベッドはパイプベッドだったため、寝床が高い位置にあり、悩んだ末、イスの上に扇風機を乗せて回すことにした。

扇風機

■|  |_俺_|   こんな配置。
| ̄|  |  |
 ↑  ↑
 イス パイプベッド

二台目の扇風機のおかげで、俺は心地よく寝付くことができた。

そして次の日の朝。

休日だったためぐっすり寝続けていると、俺の部屋からしか出入りできないベランダに干すための洗濯物を持って母がやってきた。

なぜか妹も一緒だった。

「いい加減起きなさいよ」

そう母と妹に言われ、回り続けていたイスの上の扇風機を寝ぼけ眼で止めようとした。

しかしその時、誤って扇風機をイスから落としてしまった。

扇風機は床に叩きつけられ、枠(?)の部分がはずれ、回り続けていた扇風機の翼はその回転を弛めることなく俺のほうへ飛んできた。

その軌道は間違いなく俺の顔面直撃コースだったため、おもわず手で防いだ。

結果、俺は右手の人差し指を少し切るだけで済んだのだが、扇風機の翼は壁に深い傷跡を残し、止まっていた。

母と妹は突然のことに一瞬驚愕した表情を見せ、妹はすぐさま絆創膏を持ってきてくれた。

母は「あんた、大丈夫ね!?」と心配してくれた。

自業自得とはいえ、もし手で防ごうとしなかったら、俺の元から不細工な顔は、もう人様に見せられるものでは無くなっていたかも知れない。

もしくはそれ以上のことも……。

そう思ったとき、俺は妹の持ってきてくれた絆創膏を張りながら、ただただ安堵した。

別に怖くなくてスマン。

ただ実際に起こったとき洒落にならんくらい驚いたのを思い出して、書いてみた。

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