中学生卒業と共に親元を離れ、地方の進学校に入学。
タバコを吸っている友達はいたが俺は吸わなかった。
そして、大学に進学。サークルの飲み会の席でタバコを無理矢理勧められて以来、やみつきになってしまった。
でも、俺はそれまでずっとタバコが嫌いだったのだ。
夏休み、帰省で親元に帰った俺は実家で何気なくタバコに火を付けた。それを見た母親は当然の如く仰天。
「あんた、いつからタバコ吸うようになったのさ?」
「2ヶ月位前かな」
俺がタバコを吸う様を黙って見ていた親父が口を開いた。
「お前がタバコ吸うなんてなぁ… お前覚えてるか?」
「え?何を?」
「お前に小学校6年生の時に怒られたんだよ。
『タバコ嫌いなんだよ、吸うな!』って。」
「へぇー、そんなことあったんだ。」
「それ以来俺はタバコを吸っていないんだ。」
親父は笑いながら、黙ってグラスに焼酎を注いだ。
俺も黙ってまたタバコに火を付けた。煙が部屋の天井の方へと流れていく様を見ていた。
紫煙
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