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奇妙な体験談2023.01.07 sagyouyou

海外での事故と金縛り体験談

閲覧数:568人 文字数:2214 いいね数:3 0件

これは自分の知人で、輸入雑貨の卸をしているSさんから聞いた話で、ほぼ実話というか、聞いたとおりの内容です。

触れないほうがいいかとも思ったんですが、Sさんのひととなりを説明すると、

若いころは、あるところの正式な組員になってまして、懲役、刑務所暮らしも経験しています。

今はカタギなんですけど、日本ではカラシ色のスーツに雪駄、金縁眼鏡で、金のブレスをつけてます。

ところが仕事で東南アジアに行ったときには、地味な、どっから見ても現地の貧乏人という格好で、

髪も脂ぎった黒に染めなおして、すっかりまぎれ込んでしまってるんです。

学歴とかはわかりませんが、東南アジアの現地語を数か国語、日常会話程度できます。

自分とはインドネシアで知り合ったんです。

某国でのことです。

午後からSさんは屋台に出かけ、イスでココナッツミルクをアルコールで割ったものを飲んでいると、

通りでドガーンという音がして、ふり向いて見ると、通行人が宙に舞っていました。

せまい通りを無茶なスピードで飛ばしてきた車に轢かれたんですね。

その人は布のアーケドの上で一回バウンドし、さらに地面に落ちて激しく転がり、やっと回転が止まってうつ伏せのままになりました。

血は流れていなかったんですが、ピクリとも動きません。30代くらいの男でした。

轢き逃げではなく、車は停まって(トヨタだったそうです)小金持ちそうなやつが降りてきましたが、

被害者を介抱するなどのそぶりはまったく見せず、壁にもたれて携帯で話し始めました。

で、動き出したのは屋台村のSさんのそばで飲んでいたやつらです。

Sさんは貧乏旅行者を装って、あらゆることを値切ったりして、悪いやつにマークされないようにしてたんです。

それと、2日か3日かでホテルも変えていました。

さらにベッドの下には知人宅に預けてあった、その国では非常に珍しい(野球をやる人は超希少)ケース入りの金属バットを転が
しておきまして。

何かあったらそれでぶん殴ろうというわけです。

鍵をかけた上に、ドアの前に旅行バックを置いて、12時過ぎに寝たんですが、

夜中に目が覚めて、そしたら体が動かなかったそうです。

最初に考えたのは、縛りあげられたとか、クスリを飲まされたってことですが、そのわりには体は痛くない。

薄目が開いて、電気はつけっぱなしにしてたので自分の体が見えましたが、おかしな様子はない。

それで、「これは金縛りというやつか?」と初めて考えがいきました。

それまで経験したことはなかったそうです。

とにかく指先に少しずつ力を入れて、なんとか脱出しようとしていると、足元のほうのクローゼットの中がカタカタいい始めまし
た。

それでも、「幽霊だったら怖くはない。何にもできねえからな」と言ってました。

むしろ、隣の部屋とかから穴を開けて侵入されることを怖れてたそうです。

ま、そのくらいでないと東南アジアを渡り歩くのはできませんが。

やがて、両開きのクローゼットがバーンと開いて、中にはSさんの上着しかかかっていないのが見えました。

扉はバタンバタン、バタンバタン、何度も何度も強く開閉して、Sさんのほうに風が漂ってきたそうです。

生臭い血のニオイがしました。

「あ、もしかしてさっきの事故のやつか。血は出てなかったけどな」と思いましたが、

Sさんには恨まれる心あたりはまったくなかったので、心の中で、

「俺は何の関係もねえだろ、車のやつと介抱した野次馬を恨めよ。俺、関係ナシ」こう何度も唱えました。

体はやっと指が動き始め、右手の肘も曲げることができたそうです。

Sさんは「これはもしや、昔の組時代の俺を恨んでるやつかもしれない」

そうも考えたので「ありゃしかたねえことだった。お互い様で恨むのは筋違い」

そのうち、体が動く感じがしたので、「俺を舐めるな、クソ野郎!!」と絶叫してベッドの上に跳ね起きました。

そのとたん、クローゼットの扉がバターンと閉まりました。

Sさんはベッドの下から金属バットを引っ張りだすと、持ったままクローゼットを開けて中を確かめ、

そのときは何もおかしな物は見つからなかったので、

クローゼットの前で、「舐めるんじゃねえ、コノヤロウ!」と叫びながら、何度も何度もバットを振り回したそうです。

そのうちに他の部屋から苦情がいったのか従業員が来まして、

Sさんは着替えてホテルのロビーに行き、そこで朝まで過ごしたということでした。

で、8時ころにチェックアウトしたんですが、そのときクローゼットをしっかり調べると、

一番下の引き出しに、ホコリにくるまった小さな頭蓋骨、たぶんネズミの仔のものがあったそうです。

結局、クローゼットが夜中に開閉した原因はわからずじまいでした。

こういう話を聞かされまして、Sさんは、

「ずっとヤバイ橋を渡って、海外も何度も行って、不可思議なことはこれだけ。

 やっぱホテルの客か従業員が、何かたくらんでた可能性が一番高いよな」

と言ってました

出典元:
死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?363
  • 奇妙な体験談

金縛り海外酒事故ホテル

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