小学生の頃だけど、父方の田舎にいって従兄たちと山に登って遊んでたんだが、気がついたら自分だけ一人になっていて、山を降りたらいつもと違う村じゃないところ(獣道みたいなとこ)に出てしまって、反対側に向かっていったりして、多分どんどん奥に入っていったんだと思う
しばらくしてもう夕方になって、泣きながら従兄の名前とか呼んだけど反応なし
やがて真っ暗になった
山の真っ暗ってのは本当に真っ暗で、自分の1歩先に何があるのかすらわからず、木にもたれてひたすらケモノが出ませんように、誰か大人が探しに来てくれますように、と祈ってた
すると突然
「こっちさこ!」
と言う声が聞こえて、手をぐいっと引っ張られた
握る力は強くないんだけど、手が温かくて妙に安心感があって、怖いながらもついていった
手を握ってる人はそれ以上話しかけても反応はなかった
そして、ほんの数分あるくと木々の間から人家の明かりがみえて、さらに祖父の家の近くの農協の看板の見えた
「ありがとう」
と声かけたんだが、そこには誰もいなかった
多分
気配がなかった
何度か声かけたんだがやはり反応がなかった
仕方なく、もう一度
「ありがとう!」
と大声で山に向かって叫んで、そのまま走って祖父の家に帰った
家族にその話をしたら
「訛りのある狸に化かされたんじゃね?www」
と笑われた
兄には、それは
「“こっち割こう”と体を真っ二つにするぞって呼びかけだったんじゃねwww」
とからかわれたりもした
それから10年以上経って、大学で知り合った栃木からきた友人にこの話をしたら
「こっちさこ、というのは栃木の方言。こっちおいで、という意味」
といわれた
ただ、栃木出身の人でもその正体はわからなくて、特に山の中でたすけてくれる神様とか妖怪とかそういうのは聞いたこと無い、といわれた
あの時たすけてくれたのが何なのかわからないし、何故兵庫の山奥に栃木弁をしゃべる妖怪(?)がいたのかもわからない
気になって文献探してみたけど、兵庫に栃木弁しゃべる妖怪や神様が出る話もないから永遠の謎なんだろうな
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