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奇妙な体験談2012.06.28 hide

ハイド君

閲覧数:3,038人 文字数:2428 いいね数:0 0件

今でも不思議でワケわかんないんだけど、俺の幼馴染が遭遇した話を書きます。

長いです、ゴメンナサイ。

幼馴染は女なので、名前は仮にA子とします。

もう5年前になるけど、A子は当時23歳だった。

そこそこ美人なんだけど、性格がかなり変わってて近寄りがたい雰囲気の女なので当然彼氏も居なくて、俺はよく「誰かいけめんを紹介してくれ」と言われていた。

ある日、仕事から帰ってきた俺は、家の前でA子とカチあった。(家が隣同士)

いつもは軽く立ち話をするのだが、この日はA子がこんなことを話し出した。

『今日、たまにはバッグの掃除でもするかーって思ってさぁ。いつも持ち歩いてるトートバッグの中身を、テーブルの上にぶちまけたの。まるめたゴミとか100円玉とか板ガムとかいろいろ出てきたんだけど、その中にさあ、なんか畳んだメモが1枚あってね。なんだろと思って開いたらさ…ほら、コレなんだけど読んでみ』

そう言って、1枚の紙切れを渡してきた。

何かのDVDの予約受付票(販売店とかにまとめて置いてあるやつ)の裏に、ボールペンで雑な文字が書きなぐってあった。

『●●●であなたを見かけました。とても気になっています。どうしても声をかけることが出来なかったので、こうしてメモを書きました。俺は20歳、××大学の学生です。顔はよくラルクのハイドに似てると言われます。個人的にお会いしたいです、電話かメールください。090-****-****、メルアド***@***~』

俺は思わず「うわキモ」と口走った。

●●●とは、近所にあるレンタルビデオ店。××大学も近所にある。

その自称ハイド君は、一切気配を悟られずにA子に忍び寄り、肩から提げているトートバッグの中にこのメモを放り込んだのだろうということだった。

A子は、面白そうだからこれからメールしてみると言いだした。

この頃のA子はとにかく彼氏に飢えてたし、なんつうかバカだったのでこんなおかしなアプローチにもロマンスを感じてしまったんだろうと思う。

俺は別に止める理由も無いので、「どうなったか後で教えてね」と言ってその場はオシマイ。

そしてこの日から俺に、ハイド君にアクセスしたA子からの詳細メールが届いた。

ちなみに1週間でこんな感じだった↓

「さっきメールしたよ!はいど君、照れちゃってなんかすごいかわいい感じw」

「とりあえずメールから友達始めることになったw」

「初めて電話した!声渋くてカッコイイ」

「今日はすごく口説かれた、今度会ってくるかもw」

そんなこんなで、また家の前でA子とカチあった時。

ホラこれがハイド君だよー、といって携帯に送られてきたという画像を見せてきた。

でも、そこには俺が写っていた。

「は?コレ俺じゃん」と思ったんだけど、A子はハイド君だと言う。

しかも「確かにちょっとハイドに似てるでしょ」なんて言って喜んでる。

意味がわからなくて、しげしげと画面を見るんだけど、どう見ても俺の顔だと思った。

でも俺はA子の携帯に自分の画像なんて送ってないし、そもそも俺はハイドになんて全っ然似てない。

ワケがわからなくなって、何だかものすごく恐くなってきたのでA子に恐る恐る「あのさ、これ俺に見えるんだけど」って聞いた。

A子はポカーンとして、「なに言ってんの。あんたじゃないでしょ、どう見ても」と言って携帯をひったくりそれに目を通した瞬間に、金切り声を上げて、携帯ぶん投げた。

あまりの勢いに俺も、どうしたよ!?おい!?ってビビってるとA子が「かおかお、顔が…」と叫んでた。

下に落ちた携帯をつまんで見てみると、男の顔がさっきと変わってた。

もう俺の顔じゃないんだけど、なんか虫唾の走ったような機嫌の悪いへんな顔になっていた。

マジですっっげえビビった。

A子が「その画像消して!はやく消して!」と喚くので、怖かったけど俺はその画像を削除した。

二人して冷や汗かきながら、「なんなのアレ」とか「いたずら画像なのか?」とかギャアギャア騒いだけど結局「わけがわかんない」ので、気持ち悪いしこりを残したままその日は別れた。

その後、A子のところにハイド君から電話が1回だけあった。夜中に。

怖くてとらないでいたらしいのだが、何分も何分も延々と着信が続き、恐ろしくてついに電源を落としたそうだ。

次の日の朝に電源を入れるとメールが届いていて、そこには「マタ遭おう2:30」と書いてあった。

そしてハイド君からの連絡は一切なくなった。

でも、話はまだ終わらない。

この騒動から1年かそこらが経ったある日に、A子がウチに転がり込んできて騒いだのだ。

なんと、バッグの中にあのメモがまた入っていたそうだ。俺も寒気を覚えた。

文面はほぼ同じで、「○○であなたを見かけて、気になったのでメモを入れた…」というものだった。

しかし今度は場所がレンタルビデオ屋ではなく、地下鉄の駅の名前。

紙は破いた手帳ノートみたいだった。

差出人は××大学の学生、自称ハイド似の20歳の男。やっぱりあいつだと思う。

もちろんA子はこれに応えなかったし、幸いそのまま何もなく無事に終わってくれた。

今でも不思議なこのメモ騒動なんだけど、いったいなんで俺の顔だったのか、なんでA子は俺の顔を見て「ハイド君」だと信じ込んでたのか本当にわからない。ぜんぜん見当も付かない。

もしかして全部A子の狂言かなって思ったこともあるけど、さすがに違うと思う。

バカだけど、根本的にああいうことをするタイプの人間じゃないし…

最後に、このハイド君は「クロダ」と名乗っていた。

もしバッグの底に、自分の知らない畳んだメモがあって、それが「クロダ」からのものだったら気をつけてください。

好奇心で連絡しちゃうと、おかしな目にあうかもしれません。

長くて本当にごめんなさい。

もしかしたらまたあるかもしれないって不安はあるんだけど、とりあえずこれでおしまいです。

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